株式会社LINEAイノベーション(以下「当社」)は、東北大学名誉教授である犬竹正明氏が2024年2月8日付けで、当社顧問に就任したことをお知らせいたします。プラズマ・核融合・エネルギーなど様々な専門的知見と支援をいただきながら、当社の研究開発と実装をより一層強く推進していきます。
【犬竹正明氏 略歴】
1972年東京大学大学院工学系研究科航空学専攻博士課程修了 工学博士(東京大学)。東京大学宇宙航空研究所、名古屋大学プラズマ研究所、筑波大学プラズマ研究センターを経て、東北大学大学院工学研究科電気通信工学専攻教授。2007年3月に定年退職後、東北大学名誉教授に就任。
プラズマ・核融合学会理事、日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構) 核融合委員会委員長、純粋・応用物理国際連合(IUPAP)プラズマ物理委員会(C16)日本委員、日本学術会議エネルギーと科学技術に関する分科会 “大型レーザーによる高エネルギー密度科学の新展開” 小委員会委員長など、プラズマ・核融合分野を牽引する様々な職務に従事。
【犬竹正明氏 コメント】
”LINEAイノベーション”への期待
1970年代にアポロ宇宙船が持ち帰った月の砂に、地球にはない“ヘリウム3(3He)”が潤沢に含まれていることが分かりました。3Heは第2世代核融合(フュージョン)の燃料として有望です。近い将来の月面基地建設および有人火星探査を視野に入れ、3Heや水、シリコンや金属酸化物などの月や惑星の資源探査と採取の国際競争が活発化するでしょう。
現在建設中の国際熱核融合実験炉(ITER)は、第1世代フュージョンである重水素(2D)と三重水素(3T)を燃料とし、1~2億度の高温プラズマを環状(トーラス)磁場で閉じ込める方式であり、実用炉開発の先陣を切っています。高エネルギーの中性子をブランケットに吸収させて“熱発電”します。一方、2Dと3Heや水素(1H)とホウ素(11B)を燃料とする第2世代フュージョンは5~10億度という超高温プラズマを閉じ込める必要があり、トーラス磁場でなく、直線状のリニア磁場方式が適しています。この2D-3Heや1H-11B反応で生成されるのは電気を帯びた高エネルギーイオン(1Hや4He)です。これらをリニア磁場に沿って引き出すことにより高効率の“直接発電”が可能であり、さらにノズル磁場から高速プラズマを噴出させることにより大推力の宇宙ロケットも実現できます。
このようにフュージョン・エネルギーは、地球上におけるエネルギー問題(クリーン電力と水素の供給)および環境問題(温暖化ガス削減)に貢献できます。特に、リニア・フュージョンは宇宙におけるエネルギー問題(太陽光電力不足)と共に、宇宙における環境問題(スペース・デブリや地球衝突小惑星の危険性)の解決に極めて重要です。この度、地球生命と宇宙環境の持続的安全性保持に最適なリニア・フュージョンを志向したスタートアップ企業 “LINEAイノべーション”が設立されたことは喜ばしい限りであり、大いに期待しています。顧問として開発研究の一層の進展にぜひ尽力したいと願っております。
2024.2.22 顧問 犬竹正明